今回のマケリスはリスキリングを実践する10のプロセスの⑨学習履歴とスキル証明について解説していきます。
前回は個人が実践するリスキリングを行う上で、リスキリングをこれから始めようという皆さんがどのようにして進めていくのか。を10のプロセスの全体観をご紹介した後に⑧アウトプットに挑戦について解説させて頂きました。
#30 リスキリングを実践する10のプロセス ⑧アウトプットに挑戦
https://marketing-reskilling.com/reskilling14/
今回は第9回として⑨学習履歴とスキル証明について解説していきます。
プロセス⑨学習履歴とスキル証明
アメリカでは空前の人手不足を背景として、Skills Based Hiringという「スキルベースの採用」に対する注目が集まっています。今までの学歴や有名企業で働いていたという経験に惑わされず、候補者のスキルのレベルによって採用しているのです。 そのスキルに基づいた雇用の前提となるのが、学習歴とスキルの証明になります。
学習履歴を証明するマイクロ・クレデンシャル
マイクロ・クレデンシャルは、短期間で得られるスキルや知識を証明するための資格の一つで、学習履歴を証明するために利用されます。通常、短期間で取得できる技能や知識を証明する場合に用いられます。
従来の資格や学位とは異なり、マイクロ・クレデンシャルはより小さい単位で取得することができます。例えば、IT関連のマイクロ・クレデンシャルでは、特定のプログラミング言語やフレームワークのスキルを証明することができます。
マイクロ・クレデンシャルは、オンライン学習プラットフォームや認定機関から提供されており、検定試験や課題提出、プロジェクト作成などの方法で取得することができます。また、取得したマイクロ・クレデンシャルは、オンラインポートフォリオやスキル証明書に追加して、自己アピールすることができます。
マイクロ・クレデンシャルは、学習者にとっては、短期間でスキルや知識を証明することができるため、キャリアアップやリスキリングに役立ちます。また、雇用主にとっては、求職者のスキルや知識を正確に評価することができるため、採用プロセスを効率化することができます。
最近では、マイクロ・クレデンシャルが認知されるようになってきており、企業や大学なども、マイクロ・クレデンシャルを活用して、従業員のスキルアップや学習支援を行うようになっています。将来的には、マイクロ・クレデンシャルがより広く認知され、スキルアップやリスキリングにおいて重要な役割を果たすことが期待されます。
最近のリスキリング先進国の採用の変化
最近のトレンドは、人材市場における競争の激化と共に変化しています。従来は、学位や職歴が求人採用における主要な評価基準でしたが、現在は、スキルや実績に基づく証明が重視されるようになっています。
近年、リスキリング先進国では、オンライン学習プラットフォームの普及や、認定資格プログラムの拡充などにより、自己学習やスキル証明の機会が増加しています。これにより、個人が自己啓発を行い、スキルアップができるようになりました。
また、リスキリング先進国では、従来の履歴書に加え、オンラインポートフォリオやスキル証明書などの新しい評価手段が採用されるようになっています。これにより、個人の実力や成果が評価され、人材採用における選考基準が変化しています。
加えて、AIによる採用の自動化も進展しています。AIが自己学習し、求職者のスキルや実績を評価することで、従来よりも公平かつ正確な採用プロセスを実現することが期待されています。
マイクロ・クレデンシャルによる採用プロセスの変化
マイクロ・クレデンシャルの導入により、採用面接などの採用プロセスにも変化が生じています。以下に、具体的な変化をいくつか挙げます。
スキルの正確な評価が可能に
従来の履歴書や学歴・資格などでは、求職者のスキルや能力を正確に評価することは難しいとされていましたが、マイクロ・クレデンシャルを利用することで、より詳細かつ正確なスキルの評価が可能になりました。面接官は、求職者が持つマイクロ・クレデンシャルを確認することで、より適切な判断を下すことができます。
採用プロセスの効率化
マイクロ・クレデンシャルは、取得するための試験や課題提出などがオンラインで行えることが多く、履歴書の提出や面接などの面接プロセスに比べて手続きがシンプルであるため、採用プロセスの効率化につながります。面接官は、求職者のスキルや能力をより正確に評価することができる一方で、求職者も自身のスキルを証明するために必要なプロセスがスムーズに行えるため、双方にとってメリットがあります。
データ分析による採用プロセスの改善
マイクロ・クレデンシャルは、オンライン上で取得できるため、求職者がどのようなマイクロ・クレデンシャルを取得しているかをデータとして蓄積することができます。これにより、採用プロセスにおける傾向や課題などを把握し、より効果的な改善策を導き出すことが可能になります。
新しい採用基準の設定
従来の学歴や資格に加え、マイクロ・クレデンシャルを採用基準として設定することができるようになりました。求職者は、自身のスキルを証明するために、ある特定のマイクロ・クレデンシャルを取得することを目標として、学習プランを立てることができます。求職者自身が、自己啓発やスキルアップのためにマイクロ・クレデンシャルを積極的に取得することで、採用基準を満たすだけでなく、自己啓発やスキルアップにもつながります。
多様性・包括性の促進
マイクロ・クレデンシャルは、従来の学歴や資格に比べ、より多様性を反映したスキルの証明が可能です。例えば、学歴がなくても、オンライン上で取得できるマイクロ・クレデンシャルによって、実務経験を積んだ人材の評価や、異業種から転職した人材の評価などが可能になります。そのため、多様性・包括性を促進することができます。
以上のように、マイクロ・クレデンシャルの導入によって、採用プロセスに多くの変化が生じています。求職者自身も、スキルアップや自己啓発のために積極的にマイクロ・クレデンシャルを取得することで、より多様なキャリアパスを選択することができるようになります。
以上のように、リスキリング先進国では、従来の学歴や職歴だけでなく、スキルや実績に基づく評価が求められるようになり、新しい評価手段が採用されるようになっています。また、AIによる採用の自動化も進展しています。
以上、実際にリスキリングを実践する10のプロセス ⑨学習履歴とスキル証明 についての説明でした。
次回のマケリスではリスキリングを実践する10のプロセスの最後となります、⑩新しいキャリア、仕事の選択 について具体的に解説していきます。
【出典紹介】
自分のスキルをアップデートし続ける リスキリング 単行本 – 2022/9/30
【内容紹介】
本書は、現在注目されている「リスキリング」がわかる&実践できる本。これからリスキリングを実践しようとしている人だけでなく、リスキリングという言葉の意味やこれからのビジネストレンドを知りたい人、ならびにリスキリングを自社に導入したいと考えている企業担当者にも役立つ一冊です。